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国際委員会 - 活動実績

九州・フィリピン経済交流ミッション2019(7月15日~19日)「伸びゆくフィリピンの活力を取り込むために」
2019年7月15日

と き:7月15日(月) ~ 19日(金)
ところ:フィリピン共和国 マニラ 他

1.はじめに
 フィリピンは1億人を超える人口を有し、若年労働人口が豊富。また、周辺国に比べ賃金上昇率が低く、高い英語力を有する人材が多い。2012年以降のGDP成長率は年6パーセント以上を堅持するなど、伸びゆくアジアの中でも特に魅力がある。
 一方、九州経済国際化推進機構※および九経連として、フィリピンに関してはこれまでMOUをはじめ主だった取組みを行っていなかった。この空白を埋めようと同機構として一年がかりで準備を進めてきた。両地域の発展に向け、経済交流の促進に協力して取り組んでいくべく、フィリピン共和国投資委員会(BOI)との間でMOUを締結し、九州企業のフィリピンへの進出や接点および販路拡大等のきっかけづくりとするために4泊5日の行程にてミッション団を派遣した。
 ※事務局:九経連、九州経済産業局

2.開催実績
団 長:九州経済連合会・麻生泰会長
顧 問:九州経済産業局・塩田康一局長
団 員:39名 3地方自治体、3団体、企業16社(団長・顧問、一部参加者3名を含む)

<行程一覧>
7月15日(月)
結団式、福岡空港 発
ミッション団 懇親会

16日(火)
①ジェトロ・マニラ事務所ブリーフィング
②在フィリピン日本国大使館 大使公邸昼食会
③フィリピン共和国投資委員会とのMOU締結式
④MOU締結記念夕食交流会

17日(水)
⑤EMSグループ視察
⑥ファーストフィリピン工業団地(FPIP)ブリーフィング、貸工場視察
⑦本田技研工業㈱ (Honda Philippines Inc.) 視察
⑧㈱リョーユーパン(Nippon Premium Bakery Inc.) 視察

18日(木)
イントラムロス視察 / ⑨財務大臣表敬訪問(麻生会長)
⑩現地支援機関との相談会
⑪フィリピン日本人商工会議所(JCCIPI)との意見交換会
⑫日系機関との夕食交流会

19日(金)
福岡空港 着


①ジェトロ・マニラ事務所ブリーフィング
 ジェトロ・マニラ事務所の石原孝志所長よりフィリピンの経済概況や最新動向についてブリーフィングを受けた。
 フィリピンは1億人超の人口を誇り、その中央年齢は日本の半分の約23歳である。また、2030年には日本の人口を超え、その人口ボーナス期は2050年頃まで続くと言われている。これは人材活用という観点からも魅力であると共に、1人あたりGDPが約3,100ドルで、近年その成長率は6%以上を維持しているということからも、消費市場としての魅力も備えていると言える。
 また、ドゥテルテ政権の「ビルド、ビルド、ビルド」計画によりインフラ整備関連支出が増えており、ODA事業を中心に日本が関与するプロジェクトも増加中。
 日本企業の進出が目立つ分野や今後期待される分野として、インフラ関連、製造業(電子機器・自動車)、IT-BPM(オフショアでのソフト開発・設計等)、不動産開発、グローバル人材を活用したビジネス、内需関連(小売、外食各種消費財、サービス)などが挙げられる。
 団員からはフィリピンへの展開に向け、自らの事業に落とし込んだ具体的な質問が相次いだ。

②在フィリピン日本国大使館 大使公邸昼食会
 在フィリピン日本国大使館の羽田浩二駐フィリピン特命全権大使より大使公邸昼食会に団員全員を招待いただいた。
 羽田大使から政治・経済・文化各分野で極めて良好な両国関係について紹介があった。特に新しい在留資格を活したフィリピン人材の活用や、ラーメンなど日本食が好まれ、またキリスト教徒が多いことから「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」などを活かした観光面での交流などを積極的に検討してほしい旨説明があり、団員と積極的な意見交換が行われた。

③④フィリピン共和国投資委員会(BOI)とのMOU締結式及び夕食交流会
 今回のミッションのメインイベントでもあるMOU締結式が、九州経済産業局・塩田局長、フィリピン共和国貿易産業省(DTI)ロウェル S. バルバ次官の立ち会いのもと、九経連・麻生会長、フィリピン共和国投資委員会ラモン M. ロペス議長(貿易産業省大臣)による署名にて執り行われた。
 また、締結式と交流会には今回のMOU締結先であるフィリピン共和国投資委員会のみならず、その上位政府機関であるフィリピン貿易産業省、またフィリピン・日本経済協力委員会(PHILJEC)、フランチャイズ協会(PFA)、半導体電子工業会(SEIPI)、自動車部品工業会(CAMPI)などの同国主要団体幹部にも同席いただいた。今後の交流に向けた人脈形成を意図したものだったが、フィリピン側の積極的なアプローチもあり、名刺交換のみに留まらず、具体的案件相談や、次回面談のアポイントに発展する団員も見られた。

<MOUの概要>
 (1)締結機関
   日本側:九州経済国際化推進機構
  フィリピン側:フィリピン共和国投資委員会(BOI)
 (2)目的:九州とフィリピン間の経済交流並びに相互協力の促進による両地域発展への寄与
 (3)相互に支援する具体的な内容
  ①経済交流事業を目的とした相手側の投資訪問団の自国への受入れ協力
  ②投資環境や機会の情報交換
  ③両国・地域企業による相手国進出、ビジネス拡大に資する情報提供等の支援

⑤EMSグループ視察
 マニラ市内から45㎞ほど南に位置するラグナ州のラグナ・テクノパークにあるEMSグループを視察。EMSグループは電子部品の受託生産を行っている企業だが、近年は受託生産のみならず、製造設備の提供や、製造チームの派遣(人材派遣)、人材育成等までサービス範囲を拡大している。対日投資の一環としてジェトロのサポートを受け、東京に日本法人を設立しており、日本企業に対しても積極的にサービスを提供している。団員からもフィリピン人材の活用に関し積極的な質疑が相次いだ。そのフォローの一環としてEMSグループCEOをはじめとする幹部が9月に九州を訪問。団員企業を実際に視察し、企業のニーズに沿った人材の提案を行った。

⑥ファーストフィリピン工業団地(FPIP)ブリーフィング
 ファーストフィリピン工業団地はラグナ州の南に隣接するバタンガス州に立地し、住友商事から3割、現地のロペスグループが7割を出資して運営。総開発面積約450ヘクタール、入居企業数約130社(うち日系企業67社)の規模を誇る。初期投資を抑えたい企業は貸工場の利用も可能。ブリーフィング後の質疑応答では、日本と遜色のないインフラ面の整備状況や、日本人駐在員が2名常駐している点などが特に安心できるとの声が団員から聞かれた。

⑦本田技研工業㈱(Honda Philippines Inc.) 視察
 熊本に工場を持つ本田技研工業㈱の現地法人Honda Philippines Inc.を視察した。会社概要説明の後、実際の製造現場を視察した。フィリピンでは側車に人を乗せて運ぶトライシクルと呼ばれるバイクが普及し、近年の経済成長と相まって二輪車需要が急拡大しており、同社は年間60万台の製造を行っていることだった。さらに最近は新たな顧客層を取り込むためスポーツモデル等の高価格帯大型二輪も展開している。質疑応答では、フィリピン人労働者の生産性向上への取り組みや働き方に関する質問が団員から相次いだ。

⑧㈱リョーユーパン
(Nippon Premium Bakery Inc.) 視察
 同社はリョーユーパン(福岡県大野城市)と双日などが出資する製パン工場。経済成長とともに小麦食が増加するなど食文化が変化しつつあるフィリピンにて本年6月に生産を開始し、日本式パンの「FUWAFUWA」ブランドにて展開中。日本政府の補助事業を活用しフィリピン人工場幹部の人材育成を行った点などに団員は関心を示していた。

⑨財務大臣表敬訪問(麻生会長)
 麻生会長がフィリピン財務省カルロス G.ドミンゲス大臣を表敬訪問した。在フィリピン日本国大使館の羽田大使にも同席いただき、フィリピン共和国投資委員会(BOI)とのMOU締結を報告。会談で麻生会長はフィリピンのサービス産業人材の質の高さを評価するとともに、現在進出済みの九州企業に対する支援と今後の経済交流の後押しを依頼した。ドミンゲス大臣からは自身の麻生太郎副総理兼財務大臣との交流について紹介があったほか、インフラ関連をはじめとする九州企業のフィリピン進出を大いに歓迎する旨のコメントをいただくなど、非常に有意義な会談となった。

⑩現地支援機関との相談会
 フィリピンへの進出・取引拡大を目指す九州企業とその懸け橋となる支援機関との接点強化及び販路拡大のきっかけづくりを目的とした相談会を開催した。
 第一部では、支援機関4社(住友商事㈱、㈱みずほ銀行、西村あさひ法律事務所、クッシュマン・アンド・ウェイクフィールド㈱)より「進出を成功させるポイント(よくある質問)」をテーマにご説明いただいた。
 第二部では、事前に相談を希望した団員7社と支援機関との個別相談を1コマ30分にて合計で12コマ実施した。団員からは「大変熱心にアドバイスをいただいた」「リアルタイムの情報、今後につながる人脈を得ることができた」という感想をいただくなど大変好評であった。個別相談参加企業7社中5社は引き続きフィリピンビジネスを進展させるべく取り組んでいくとの意向だった。

⑪フィリピン日本人商工会議所(JCCIPI)との意見交換会
 フィリピンへ進出している日系企業675社で構成する非営利団体。1973年11月設立。役員には、商社・銀行など日系大手企業幹部が歴任。フィリピンに進出した日系企業相互の交流や各種情報提供活動を行うほか、経営上の課題に対して関係機関とも連携しその解決に当たっている。当日は松永啓一会頭(三菱商事㈱マニラ支店長)をはじめご出席の5名の幹部の方々にご挨拶いただいた後、フィリピン在住20年の藤井伸夫副会頭(CEZIA名誉会長)より「フィリピン経済の現状:特徴とポイント」をテーマにご講演いただいた。参加した団員はフィリピン駐在の魅力や苦労話など、屈託のない生の声に関心を示していた。

⑫日系機関との夕食交流会
 今回のミッションでお世話になった関係機関の方々や、本年1月の事務局による事前調査の際に訪問した機関の方々など日系機関総勢約30名を招待し交流会を開催した。ミッションの最後の行程ということもあり、団員はこれまでの訪問先で生じた疑問点や、フィリピンへ進出するにあたっての懸念点などを、実際にビジネスを行っている参加者に投げかけていた。

3.総括
 九経連として創立以来初のフィリピン訪問であったが、団員や現地関係者など多くの方々の同席のもと、フィリピン共和国投資委員会(BOI)との間で無事にMOUを締結することができた。各プログラムでは非常に活発な意見交換が行われ、団員はフィリピンの魅力を感じることができ、また九州企業に対するフィリピン側からの強い期待を感じ取ることもできた。支援機関との接点強化が目的の相談会も、フィリピン進出・取引拡大を行う上で貴重な場となった。
 今回のミッションは、自ら自社の意思決定を行うことのできる企業トップや幹部などが多数参加していたことが特徴であり、現地で接点を持った方々とミッション終了後に個別に面談を行うなど、実際のビジネスへつながる糸口を見出した団員も複数いた。また、自治体関係者に加え、大学・税理士・弁理士等の方々にもミッションに参加いただいたことにより、今後のフィリピンとの交流が九州の多方面に波及する効果も期待される。
 福岡からマニラまで直行便で3時間半。マニラ中心部は近代的ビルが林立し、治安への不安感も払拭される。九経連ではこのミッションおよびMOU締結の成果を九州・フィリピン経済交流の礎と捉え、フィリピン共和国投資委員会やフィリピン側関係機関、さらに九州経済産業局など日本側関係機関と連携しつつ今後の交流促進につなげていきたい。
                               【国際部 中林】

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