(左)倉富会長、(右)池辺次期会長候補
➤倉富会長:このタイミングで会長交代する狙い
4年前に麻生前会長から「九州将来ビジョン2030」の策定と同時に引き継ぎを受け、その実現に向け4年間走ってきた。その将来ビジョンの骨格の一つが九州の成長エンジンを作っていくことであり、これは「新生シリコンアイランド九州」の実現に向けた取り組みを進め、またインバウンドが回復している中で、「ツールド九州」等の様々なイベントを行うなど一歩ずつ前に進んでいる。一方で、広域連携という土台部分がしっかりしていないと、半導体産業の振興は前に進まないとも感じていた。
そのような中、石破政権の「地方創生2.0」や経団連の「新たな道州圏域構想」のような大きな話も出てきている。広域連携の土台を作るにはそれなりの体制が必要であり、また池辺社長が九電の会長になられるという話もあり、九経連の会長に一番相応しいと決意した。
振り返ると、会長時代の前半はコロナ禍でほとんど人の動きがなかったが、何とか人に動いてほしいという狙いで「九州MaaS」など様々なプロジェクトを行ってきた。池辺社長にはもっと大きな将来を見据えて取り組んでいただきたい。
➤池辺次期会長候補:選任されたことの受け止めと意気込み
石破総理が地方創生を一番やりたいと言われており、九州にとって非常にチャンスである。そのような時期に九経連の会長を引き受けるのは非常に責任も重く大変なことであるが、ご指名いただけるのであれば全力を尽くしたい。
九経連は「九州を元気にする」ことが一番の役割であり、それを実現させたい。既に倉富会長の下で取り組まれている「九州MaaS」や「ツールド九州」、半導体関連の実績を土台としてより先に進めるように取り組んでいきたい。
また、今のルールで一生懸命やることに加え、今のルールが本当に最適なのかどうか考えていきたい。世の中が複雑化するに従い地域ごとに悩み事は違う。全国一律のルールを適用しようとするとどうしても無駄、無理があるのではないか。それが道州圏域構想なのか地域特区なのかは分からないが、新しいルール、九州に合ったルールを考えていきたい。
更に、理系進学を目指す女子高校生にチャンスの場を提供する、もしくは親ガチャで悩む方やヤングケアラーの方に手を差し伸べるなど、本当に困っている人、今のルールでは救えない人に何かできることはないかを、経済界にいる人間の役割として考えていきたい。
最後に、九経連は本当に多くの素晴らしいことをやっているが、もっと声を出していく、姿を見せていくべきだと思う。記者の皆様の力もお借りして、九経連はこんなこともやっている、こんなところで役に立てるということを表現していきたい。
➤倉富会長:池辺次期会長候補に新会長就任を打診した時期
常にその時々で最も大きな戦略を実施していくに相応しい体制を考えており、より前に進んでいくためには、半導体が大きく動き出している今こそ、池辺社長の元で体制構築した方がいいと思ったのがきっかけであり、具体的な打診は今年に入ってということで。
➤池辺次期会長候補:倉富会長から新会長就任を打診された時期
日頃から倉富会長とはコミュニケーションを取っており、雑談の中だったと思うが、万一そういう話になったら引き受けるかと言われた。我々九州の経済人は全員が九州のために何か働きたいと思っており、理事の皆さまが推挙していただくならば九経連の会長を引き受けないという選択肢はない、と話した記憶がある。それが打診だったのかなと思っている。
➤倉富会長:池辺次期会長候補が九電出身者ということについて
池辺社長の人格識見は当然のことであり、電事連でのご活躍などの実績も見ていたので、今の九州を牽引していくのに最もふさわしい人物である。結果的に九電出身者だったということだが、インフラやクリーンエネルギーなど電力の重要性を踏まえると、九電出身者であることはプラスになる。
➤池辺次期会長候補:12年ぶりに九電出身者が九州経済界のリーダーになることについて
九電は、九経連の各地域委員会でJR九州と一緒に事務局をしているが、今の倉富体制のもとで本気でサポートさせていただいている。私が九電出身者かどうかは関係なく、どなたが会長であれ九電は九州のために全力でその方をお支えする。
➤池辺次期会長候補:将来に向けて九州の課題
九州の一番の課題は人口が減っていくということであり、そのために企業誘致や観光振興というのは非常に重要な要素である。地域を振興させ、子供たちが働く場があり、Uターンでも働く場があるといった環境整備は、経済界として一番にしなければならない。
➤池辺次期会長候補:広域連携について
九州には「九州地域戦略会議」というものがあり、経済界と各県の知事が一緒になって議論する場があり、そこで腹を割った議論ができれば、自分の県だけ発展するという考えにはならないと思う。皆で九州を盛り上げようという機運は、既に九州地域戦略会議を作った段階で構築されているのではないか。
➤池辺次期会長候補:広域連携において一番重視したい分野
九州発展の土台に自分で取り組めるのであれば、やはりエネルギーだと思う。九州にはCO2を出さず単価が安い電源が多く、TSMCや他の半導体メーカーにも評価いただいている。これを起爆剤にして、更にGXを推進させ企業を誘致する。
働く場があることは地域が力を持つための一番の土台であり、子供や孫世代から九州にはエネルギーがないから企業が来ないと言われないように、まずはエネルギーが発展していけるように取り組む。そのための制度として道州制なのか道州圏域構想なのかは分からないが、それぞれの地域に適したエネルギー行政が必要だと思う。
➤倉富会長:半導体政策の振り返りと新会長へ託すこと
サイエンスパーク構想を実現する、TSMCの第2工場が先端半導体を量産化できる3年後には骨格を表したいという思いでやってきた。熊本と福岡、北九州市などが中心となりサイエンスパークの流れはできたが、台湾の新竹サイエンスパークを見ると、国を挙げて取り組まないと実現は難しいと感じた。
そのような中、石破総理が国を挙げて地方創生に取り組むという話しもあり、もっと大きな構想の中で取り組んでいくことが、サイエンスパークの実現に繋がるという思いで今回に至った。サイエンスパーク構想の中身は今から具体的に詰めていくわけだが、九州が引っ張っていくという流れを大事にして、池辺新会長の下で詰めていっていただきたい。
➤池辺次期会長候補:電力事業者出身の知見を半導体政策にどう重ねていくか
半導体は、安定した電力と水、労働力の3点セットが必要だと思う。電力業界出身の私が会社を通じて貢献できるのは、CO2排出が少なく安定した電力を我々は持っていること、この強みを九州全体に広げていきたい。半導体関連の設備投資が九州全域に広がり、「新生シリコンアイランド九州」を実現させる非常に大きなチャンスである。全体で足並みを揃えて成長していける九州を作っていきたい。
➤池辺次期会長候補:観光や「九州MaaS」、「ツールド九州」をどう盛り上げていくか
倉富会長や九州観光機構の唐池会長のご意見も聞きながら勉強していきたい。「ツールド九州」はまだ見たことないので、自転車レースの中心であるフランスも視察して素晴らしさを体感したい。
➤倉富会長:今後の池辺新会長体制のサポートについて
「九州MaaS」など交通事業者の知見を活かして協力するのは当たり前である。私も財界人として九州を元気にしようという思いを持っており、人が行き交う元気な九州、そして安定廉価のエネルギーがある九州にしていくためにあらゆることをサポートしていきたい。
➤池辺次期会長候補:トランプ関税の九州経済への影響について
九州は半導体や自動車産業の集積が大きく、非常に悪影響が出るのではと心配している。ただし、まだ交渉中であり決定している訳ではない。いい方向に進むための知恵を出しているところであり政府の外交努力に期待したい。