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「混迷を深める米中・日韓関係の行方と今後の日本経済・九州経済への影響」 -国際委員会 特別講演会-

国際委員会(委員長:張本邦雄・TOTO㈱会長)は2月22日(金)、2018年度委員会を開催し、㈱国際協力銀行 企画部門 調査部 第1ユニットの春日剛ユニット長より「わが国製造業企業の海外事業展開に関する調査報告(2018年度)」と題して、また㈱第一生命経済研究所 経済調査部の桂畑誠治主任エコノミストより「混迷を深める米中・日韓関係の行方と今後の日本経済・九州経済への影響」と題してそれぞれご講演いただいた。  当日は2019年度の委員会活動について審議、了承を得た。

 

「わが国製造業企業の海外事業展開に関する調査報告(2018年度)」 ㈱国際協力銀行 企画部門 調査部 第1ユニット ユニット長 春日 剛 氏  当行では海外現地法人を3社以上有する製造業を対象に毎年アンケート調査を実施している。 今回は米中貿易摩擦が過熱化した2018 年 6~9 月が調査期間にあたり、これを念頭に約 600 社にご回答いただいた。  2017 年度の事業実績は概ね好調で、海外拠点数については特にアセアンで新規拠点の設立が目立った一方、中国では現地法人の業種の入れ替えもみられた。  今後の事業展開については、国内事業を強化・拡大する企業の割合が増加し、海外事業において国・地域の選別色が強まっている。例えば有望国ランキングでは、中国が首位を維持しタイや米国も上昇傾向を維持する一方、ベトナムがやや後退しメキシコが続落するなど、得票率の二極化が進んでいる。  また保護主義的な政策の影響については、約3割の企業が収益や貿易取引の面で「減少が見込まれる」とした一方、「中国・米国以外の国への投資増」の可能性も示された。  また環境関連では、中国や EU の環境規制の厳格化を認識しつつ、それをビジネス機会と捉える見方も根強かった。

 

「混迷を深める米中・日韓関係の行方と今後の日本経済・九州経済への影響」 ㈱第一生命経済研究所 経済調査部 主任エコノミスト 桂畑 誠治 氏  2018年、米国は鉄鋼とアルミニウムの輸入にそれぞれ関税賦課を掛けたが、中国やEUなど各国は対抗措置を実施。次に米国は国別の貿易赤字削減に乗り出し、最初に赤字シェアが最大の中国が標的にされた。米中で関税の引き上げ合戦が行われたが、双方とも国内景気への影響を注視しながら関税賦課を実施。米国経済は堅調さを維持しており、中国景気も緩やかに鈍化しているものの景気刺激策を相次いで発表・実施しており、米中双方の景気への影響は限定的とみられる。  米中の対立は米国第一主義を掲げるトランプ政権誕生による一過性のものではなく中国の台頭を封じる米国の長期的な戦略に基づいており、米中の覇権争いは長期化するだろう。  日本経済への影響としてはサプライチェーンの変更を迫られコストが増加するなどのマイナス要因、中国からの輸出を抑制し日本からの輸出を拡大するなどのプラス要因もある。  日韓関係も当面改善は期待できない。韓国が差し押さえた日本企業の資産売却に踏み切れば日本政府が対抗措置を取らざるを得なくなるため、経済関係の悪化に繋がるだろう。

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