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九州・ベトナム経済交流ミッション2018(3月10日~16日) 「“新たな挑戦”をテーマに、経済発展目覚ましいベトナムの市場を開拓」

と き 3月11(日)~16日(金) ところ ベトナム・ホーチミン、ダナン、ハノイ 1.はじめに 九州経済国際化推進機構(以下「機構」)は、3月11日(日)~16日(金)にかけて、ベトナムのホーチミン、ダナン、ハノイへ経済ミッション団を派遣した。6回目となる今回のミッションでは、“新たな挑戦”をテーマに、これまでのミッションで取組事例がなかったヘルスケア&ビューティ関連産業に焦点をあてた産業視察及び現地バイヤーとの商談会を実施。また、ホーチミン・ハノイに加え、ベトナム第3の都市であるダナン(2017年11月APEC開催都市)を訪問し、中部エリアの発展を感じると共に新たな市場開拓を目指した。加えて、主に介護分野において日本式介護技術の習得を目指すベトナム人材支援や、外国人材活用に関心を持つ事業者支援のため、現地教育機関や介護事業所の視察をおこない、将来的な日本式介護サービス等の海外展開の足掛かりを築くなど、より「実績・成果」を意識した内容となった。  ベトナムと機構との関係は、2007年まで遡る。2009年には、機構とベトナム計画投資省(MPI)とで経済交流に関する覚書(MOU)を締結し、相互による経済交流を継続してきた。その良好な関係をさらに強固にすることも今回の目的の一つである。 2.開催実績 日 程:3月11日(日)~16日(金)(4泊6日) 訪問地:ホーチミン、ダナン、ハノイ 参加者:39名  (団 長)九州経済連合会・麻生会長 (顧 問)九州経済産業局・髙橋局長 (副団長)九州ベトナム友好協会・矢頭会長 (㈱やずや 代表取締役会長) (団 員)1地方自治体、4団体、九州企業16社 【 九州・ベトナム経済交流ミッション2018行程表 】 日程 概要 3月11日(日) 結団式 福岡空港 発 ①イオンモール・ビンタン店視察 12日(月) ②JETROホーチミンでのブリーフィング ③在ホーチミン日本国総領事館表敬(表敬班) ④ヘルスケア&ビューティ商談会(商談会班) ⑤プラッツベトナム視察(視察班) ⑥現地機関との夕食懇親会 13日(火) ⑦FPTシティ訪問 ⑧ダナン日本商工会との意見交換会 ⑨現地機関との夕食懇親会 14日(水) ⑩ダナン市人民委員会表敬及びダナン市政府(IPA)ブリーフィング ⑪VINMEC国際病院視察 15日(木) 視察班 ⑫JETROハノイでのブリーフィング ⑬⑭人材育成機関視察(2社) ⑮現地老人ホーム視察 表敬班 ⑯在ベトナム日本国大使館表敬 ⑰ベトナム副首相表敬 ⑱計画投資省表敬 ⑲農業農村開発省表敬 ⑳フエ省との意見交換 16日(金) 福岡空港 着 

 

【1日目】3月11日(日) ①イオンモール・ビンタン店視察  今回のミッションのテーマであるヘルスケア&ビューティ商品の小売状況の視察を目的にイオンモール・ビンタン店を訪問。イオンモールベトナムの川端部長よりイオンモールの概要を、イオンベトナムの妹尾部長からはイオンベトナムの概要とベトナムのヘルスケア市場について説明を受けた。同店舗はイオンとしてベトナムでは4店目であり、2016年7月にオープン。ベトナム人家族連れで賑わっており、オープン以来、100万人/月以上の来店をキープしているとのこと。団員は説明を熱心に聴き入っており、説明会後は日本と変わらないモール内の様子、店舗や置いてある商品等を興味深く視察した。 【2日目】 3月12日(月) ②JETROホーチミンでのブリーフィング JETROホーチミン事務所において、滝本所長よりベトナム市場や経済に関するブリーフィングを受けた。ベトナム全体のGDPは、1人あたり約2,400ドルで、日本の昭和44年~45年(これから大阪万博といった時代)に近いとのこと。最近は一人当たりGDPの上昇により、不動産や小売業、外食産業等のサービス業の進出が盛ん。農業については、主にダラット(ホーチミンから北へ車で1時間程度)に日本から農業関係が進出。標高1500mで日本と同じような冷涼な気候であり、イチゴが中心とのことであった。団員は具体的な最新事情の説明に対して、その後の質疑応答を積極的に行っていた。 ③在ホーチミン日本国総領事館表敬訪問 表敬班にて河上(かわうえ)総領事を囲んで、ベトナムの近況、今後の両国の交流等について意見交換を実施した。 ④ヘルスケア&ビューティ商談会 会 場:ニッコーサイゴンホテル 参加者:九州側セラー5社、ベトナム側バイヤー8社 都市中間層の消費の伸びに伴いニーズが高まりつつあるヘルスケア&ビューティ製品における商談会を開催。ベトナムで事業を展開中のみずほ銀行ホーチミン支店、ベトナム日通、明倫国際法律事務所から商談会前段のセッションにてそれぞれの観点から商談会参加者に有益なプレゼンを実施いただき、商談会中は、会場内に設置したよろず相談ブースにて参加企業の後押しをいただいた。 個別商談会は九州からの参加企業5社がベトナムのバイヤーと30分×5回の商談(計25コマ)を実施。会場内に熱気が込み上げる商談が行われ、当日の成約は4件、交渉継続の件数は14件と契約に向けた交渉が現在も継続中である。 ⑤プラッツベトナム視察 ベトナムで台湾企業と合弁で介護ベッドを製造している九州企業プラッツベトナムを視察。古賀社長より、企画・設計・開発は日本本社で実施し、ベトナムの製品は主に日本へ輸出している等同社の取組の説明を受け、現場の視察を行なった。従業員に対する日本式の教育や作業の効率化の推進などを目の当たりにした団員は暑さも忘れ積極的に質問をしながら工場内を練り歩いた。 ⑥現地機関との夕食懇親会(ホーチミン) 在ホーチミン日本国総領事館やJETROホーチミン、現地進出日系企業との交流を目的とした懇親会を実施。 【3日目】 3月13日(火) ⑦FPTシティ訪問 開発が進むダナンを体感すべく、その象徴でもあるFPTシティを訪問。ダナン支社のタン副社長から取組について説明を受けた。同社はベトナムのIT最大手で、民間初のソフトウェア会社。人材育成や社員の日本語教育にも力を入れている。ベトナム政府やダナン市の支援を受けながらFPTシティ(都市づくり)を構築中。その中心が今回視察したFPTコンプレックスという開発拠点施設であるという。説明後の視察において、団員は開発が進むダナンについて身を以て感じ取っていた。 ⑧ダナン日本商工会との意見交換 ⑨現地機関との夕食懇親会(ダナン) 進みゆくダナンの現況情報を収集すべくダナン日本商工会の事務局と意見交換会を実施した。冒頭、会長から商工会の概要、商工会企業よりベトナムでの事業概要について説明を受けた後、人材確保や現地での事業展開について情報交換を実施。団員は積極的に意見交換を行ない、その後の夕食懇親会でも活発な交流が図られた。 【4日目】 3月14日(水) ⑩ダナン市人民委員会表敬及びダナン市政府(IPA)ブリーフィング 冒頭、団長代行の長尾専務理事から九州とベトナムの交流の歴史や今後の経済交流促進への期待を述べた。一方、ト(Tho)ダナン人民委員長からは、ダナン市の紹介と共に九州からの投資のチャンスがあるとの答礼があった。団員からのダナンの投資環境に関する質疑応答において、特に優遇の対象となるのは主にハイテク産業やIT産業であるが、ハイテク農業にも関心があり、是非日本と一緒にやっていきたいとのコメントもあった。 ⑪VINMEC(ビンメック)国際病院視察 ベトナムの最新医療状況を探る目的でVINMECダナン国際病院を視察した。施設は9階建てで病床数は222床の設計で現在74床が稼働。内科、外科、産科、小児科のほか、救急医療や検査医療にも対応しており、2017年にダナンで開催されたAPECでは、公式の医療機関として指定されたという。団員はベトナムでも未だ数少ない最新の医療設備の説明を熱心に聴き入っていた。 【5日目】 3月15日(木) (1)視察班 ⑫JETROハノイでのブリーフィング JETROハノイ事務所において、北川所長より特にベトナム北部の市場や経済に関するブリーフィングを受けた。ベトナム北部(ハノイ近郊)は大型案件(大企業)中心の進出と思われがちだが、実際は殆どが中小案件。また、ベトナムは若いイメージがあるが、日本が経験した以上のスピードで高齢化が進んでおり、昨年は介護ビジネス案件の問い合わせが多かったとのこと。団員は意欲的に質疑応答を行った。 ⑬LOD人材開発視察 ベトナムでの人材育成機関の現況を把握すべくLOD人材開発を視察した。ここは技能実習生及びエンジニアへの教育が中心で、日本語や日本文化等のソフト面と、日本の大手企業と連携した技術教育を実施。また、日本での実習後(帰国後)、出来る限り日本での実習経験をベトナムで活かしてもらうという観点で、帰国後の就労もフォローしている。看護・介護についても、施設を提供して、日本から教育者を呼んで、日本で必要なスキル等を確認しているとのこと。日本での就労を目指して勉学に励むベトナムの若者を目にして、目頭を熱くする団員もいた。 ⑭AN DUONG会社グループの人材育成機関視察 前述の人材育成機関とは多少カラーの異なるAN DUONG会社グループの視察を行った。日本へは技能実習生、エンジニア及び留学生を送り出しており、これまで日本をはじめ韓国・シンガポールに約5万人の実習生及びエンジニアを提供している。日本語教育、技能実習のほか、慣れない海外生活の中で、健康面を考慮し、体力訓練を実施しているのが、このグループの特徴であり、体力づくりを実践する学生の輪に加わる団員の姿があった。 ⑮現地老人ホーム視察(トゥィト タイ老人ホーム) 介護が未だ事業としては未成熟であるベトナムの介護事業所の現況把握のため、トィット タイ老人ホームを視察。同施設は2010年に日本からの支援(ODA)で設備・整備をおこなったという。施設内では実際に入居されているベトナムのお年寄りとも触れ合い、団員は今後の介護事業のベトナム進出への足掛かりを掴んだ。 (2)表敬班 ⑯在ベトナム日本国大使(梅田邦夫特命全権大使) 表敬班11名は大使館での情報交換を挟んで、永井公使同行の下、首相府、計画投資省、農業農村開発省等の表敬訪問を行なった。大使館表敬では、矢頭友好協会会長から、ベトナムへの高校の修学旅行生派遣事業が5年間で累計1万人を超過したこと、昨年からベトナム人留学生の九州企業への就職支援事業に取り組んでいることを伝えた。梅田大使から長年の貢献への感謝の弁があった。 ⑰首相府(チン・ディン・ズン ベトナム副首相) まず、首相府で副首相を表敬訪問し、意見交換を行った。ズン副首相は、今回のミッションについて「貿易・投資をはじめ、あらゆる分野で日越関係発展に向けた大きな礎となる」と評価した上で、九州の企業による投資・事業の拡大に期待を示した。 麻生会長は「両国をビジネスで繋ぐ大変やりがいのある役割を持って訪越した」と応じ、ベトナムを重視する姿勢を強調。一段の関係強化に取り組む姿勢を示した。 ⑱計画投資省(グェン・バン・チュン副大臣) 次にMOU相手先である計画投資省を訪問。九州側から農業・環境(水ビジネス)・エネルギー(電力)等、九州の産業によるベトナムでの展開事例の紹介を行い、投資受入れ環境整備への期待を伝えた。チュン副大臣は「外国からの投資誘致を促進するための新たな法案を整備中」と、九州側への期待を述べた。 ⑲農業農村開発省(レー・コック・ゾアイン副大臣) 農業農村開発省では麻生会長から「農業分野における九州からベトナムへ展開する場合の課題として、適地・道路・水等のインフラ整備」への期待を伝えた。特に、ベトナムでの農業実践を考えている九州の若手農業経営者の事例を紹介した上で、必要となる支援を求めた。 ゾアイン副大臣からは「九州からの農業分野への展開に係る適地の検討等、JICAジャパンデスクを窓口として具体的に連携していく」との回答があり、今後に繋がる会談となった。 ⑳フエ省人民委員会との意見交換会 (グェン・バン・カオ 人民委員会委員長) フエ省からの希望を外務省がアレンジする形で、当ミッション団へのフエ省紹介(工業団地等、フエ省への投資促進)の場が持たれたもの。フエ省の幹部数名がハノイを訪れ、日本語によるパンフレットで説明を行った。九州側からは「フエ省の熱意を感じた。まずは知名度向上を図るためのセミナー等を行ってはどうか。」と応じた。

 

3.総括及び今後の対応 政府表敬訪問では農業分野を中心に具体的な要望を行ったのに対し、ベトナム政府側も大いに賛同のうえ担当窓口を明示する等、次のステップにつながる着実な意見交換を行えた。 また、少数ながらも分野を絞り込んで高い継続率となった商談会に加え、各勉強会や視察・訪問先での意見交換も非常に活発であり、団員、訪問先等機関の協力の下、充実したミッションとなった。 アジアの中でもベトナムと九州との経済交流は非常に活発で、今回の派遣により訪問団員は述べ270名を超えた。本ミッションのフォローも含め一層ベトナムとの経済交流を図り、伸び行くアセアンの活力を取り込むための事業を今後も積極的に展開していく。

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