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第1回農林水産委員会

農林水産委員会 活動実績 第1回農林水産委員会 日 時:平成30年10月15日(月)14:30~17:00 場 所:電気ビル共創館3階 カンファレンスC 参加者:61名 議 事   1 開会  2 報告  (1)平成30年度上期活動実績  (2)農林水産業の振興に関する要望活動について  (3)平成30年度下期活動計画  3 講演会  (1)中国向け農林水産物輸出の円滑化~中国版HACCP及びトレーサビリティについて~      CCIC・JAPAN株式会社 認証コンサル部 課長 董 闘(とう ど)氏  (2)鶏糞リサイクルで貧栄養化の海を再生~養鶏業から水産業参入~      トリゼンフーズ株式会社 代表取締役会長 河津 善博 氏 同社 農業・環境事業部 研究開発室長  福岡 浩一 氏  (3)「佐伯型循環林業」から「地域材パネル住宅」へ 地域循環型サプライチェーン      佐伯広域森林組合 代表理事組合長 戸髙 壽生 氏  4 プレゼンテーション    「九州経済連合会xOPTiM スマート農業促進の取り組み」      株式会社オプティム ゼネラルマネージャー 坂田 泰章 氏  5 閉会 【内 容】 今年度第1回目の委員会を開催し、平成30年度上期活動実績、農林水産業の振興に関する国への要望活動及び平成30年度下期活動計画について報告を行った。 開会挨拶では、今年6月に農林水産委員長に就任された㈱佐賀銀行の陣内取締役会長より、今年の西日本における豪雨災害、台風24号による災害等で、被災された方々へお見舞いのことばをかけられ、早期復興・復旧に向けた支援に継続して取り組んでいく旨を述べられた。また、農林水産物の輸出促進や販路拡大支援、スマート農業の導入等を通じて、生産者所得の拡大に向けて取り組んでいることを紹介された。  議事に入り、上期活動実績については、企画部会、林業部会、水産部会の各部会別に部会開催実績のほか、スマート農業促進の取り組み、林業アクションプラン、「社食で地産地消」事業などの活動実績を報告した。  国への要望活動では、8月21日に陣内委員長、3部会長より、磯崎副大臣をはじめ、農水省幹部の方々に要望書を手交し、磯崎副大臣からは、持ち主不明の土地に関して、2019年2月までに政府として方針を出す予定であり、今後改善されると思う等の発言があった。  下期活動計画については、昨年度末の当委員会で承認を受けていることを前提に、部会別に下期活動計画の内容を報告した。     第2部の講演会では、初めに、CCIC・JAPAN㈱(東京都中央区)認証コンサル部課長董闘様より、「中国向け農林水産物輸出の円滑化~中国版HACCP及びトレーサビリティについて~」と題してご講演頂いた。 CCICは、中国最大の国有の唯一グローバル拠点を持つ第三者検査、認証、試験の機関で、世界中に400の機関、300の提携ラボ、2万人以上の社員を持つ。CCIC・JAPANは、1991年に設立され、日中間貨物の船積前検査、鑑定、認証、コンサル業務を行っている。中国に輸出可能かは、中国の輸入禁止リストに含まれていないことの確認や、輸出食品生産企業の衛生条件が中国の法律等に適合すること等の要件を満たし中国当局に事前登録することが必要と説明があった。 現在、中国に水産品は輸出できるが、肉類産品は輸出できない。これは、日中関係の問題が影響している。輸出手続きの最後に、税関の検査検疫、通関手続きがある。税関で不適合率が高いのは、商品ラベルの内容であり、検疫不合格となれば、返品または廃棄される。通関のポイントとして、商品に関する輸入国の法律等の確認、対象港等の検査検疫の状況・方法の確認、そして検査検疫の要求事項に沿った準備対応の3つを上げられ、事前準備の大切さを訴えられた。 中国では、2009年より、食品安全法でHACCP(危害分析重要管理)導入による食品安全管理水準の向上を奨励している。CCICでは、2015年にトレーサビリティシステムを構築し、遼寧省、広東省、山東省、出入境検験検疫局等と協力協定を結ぶ等、スムーズな通関に取り組んでいる。また、このトレーサビリティサービスの活用により、生産工場の審査や輸出前の検査等を行うことで、中国の消費者不安の解消や製品の知名度・信頼度のアップに繋がり、中国輸入通関がスムーズになるとお話しがあった。 次に、トリゼンフーズ㈱(福岡市博多区)代表取締役会長河津善博様、研究開発室長福岡浩一様より、「鶏糞リサイクルで貧栄養化の海を再生~養鶏業から水産業参入~」と題してご講演を頂いた。  同社は、「博多の水炊き」をテーマにレストランを展開されている一方、鶏の卸業、小売業、通販の他、それを支える養鶏業を営んでいる。1日に約2万羽の鶏を処理し、そのためには約100万羽の鶏が必要で、直営1か所の他、契約農家に依頼し生産されている。養鶏業での十数年来の問題が鶏糞の扱い。鶏糞は、非常に有効な肥料だが、特有の臭いがどうしようもなく、そのままでは使えなかったと語られた。 この特有の臭いをどうにかしたいという思いで、8年ほど前に「華燦々(はなさんさん)」というバイオエキスを開発した。乳酸菌や酵母菌等の有効成分を掛け合わせたもので、これを鶏糞に散布すると特有の臭いが消えて、作物連鎖の被害の少ない優良な普通肥料「華煌ら(はなきらら)(S)」が完成した。「華煌ら(S)」は、キャベツやブロッコリー等の畑の土づくりに生かされている。 では、海づくりとどう関係するのか。近年、河川整備等により、森や土からの栄養素が海に届きにくく、海の貧栄養化が叫ばれているという。海をきれいにするアサリに着目し、「華燦々」や「華煌ら(S)」が環境改善に役立つのではないかと考えた。そこで開発されたのが、それらを使用して作った固形状のMOFU(モフ)、「華燦々」が主原料であるIBAであった。MOFUから溶けだす栄養分は、アサリ等の餌となるプランクトン等の栄養素となり、IBAは、土着菌を活性化させ有害菌を分解し、ヘドロの砂質化等を可能とする。実際に、IBAを糸島深江浜に散布したら、沿岸のヘドロは還元されたと説明があった。 現在、広島大学との共同研究で、MOFUやIBAを尾道・浦崎海老干潟に設置し、アサリ等の生育状況や環境への影響を調査するなど環境改善に取り組んでいるとお話があった。 最後に、佐伯広域森林組合(大分県佐伯市)代表理事組合長戸高壽生様より、「佐伯型循環林業」から「循環型パネル住宅へ」 地域循環型サプライチェーンと題してご講演を頂いた。  佐伯市の森林面積(78,570ha、同市面積の87%)は九州の市の中でも最も広く、人工林率は54%となっている。かつての佐伯の森林は、燃料としての広葉樹林が主体であったが、国の拡大造林政策や化石燃料の台頭、木材価格の高騰により、針葉樹林(人工林)へ転換し、森林組合が主導して拡大造林(杉中心、オビ杉の4品種)してきた結果と説明があった。  佐伯林業の指針に掲げられているのが、「木材生産」と山と森の「公益的機能」の持続的維持。同森林組合では、50年伐期で伐ったら必ず植えて、品種を統一し伐っても伐り尽くさない持続可能な森づくり、佐伯型循環林業に取り組まれている。今は、「森を育てる」時代は過ぎて、「伐って・使って・植えて育てる」時代だと語られた。  同森林組合は、組合員数5,160人、役職員数158人で作業員は全て請負の246人、全国屈指の大規模製材工場(12万㎥/年)を所有する。佐伯型循環林業の構築を目指し、苗木の生産(コンテナ苗)、造林、育成、伐採(林地残材はチップ化しバイオマス発電所へ搬入)、製材、木材利用の一貫したシステム化に向けた取り組みを進めている。課題はいろいろあるが、造林作業員の育成では、ハローワーク等での雇用やAIやITの活用検討など解決を図っていると説明があった。  特に、製材品は高く売れず、もう一歩踏み込んで高く売りたいという思いやウッドステーション社長との出会いもあり、地域材パネル住宅への取り組みが始まった。地域材パネルは、小売価格で製品が売れ、また、サッシや断熱材等まで組み込んであるので、現場で取り付けるだけで上棟できる。地域材パネルの生産、販売まで取り組みを進めることで、地元のプレカット工場や工務店等と連携し地域材の高付加価値化を図り、森林所有者にできるだけ還元することを目標に取り組んでいるとお話があった。    講演会に引き続き、上期活動実績で報告したスマート農業促進の取り組みに関連し、株式会社オプティム(本店:佐賀市)のゼネラルマネージャー坂田泰章様より、「九州経済連合会×OPTiM スマート農業促進の取り組み」と題して、取り組みの活動状況についてご説明頂いた。  オプティムでは、既に佐賀大学、佐賀県と三者連携協定を締結している等、IoT・AIを活用した最新のIT農業に取り組んでいる。今年度、稼げる農業の実現、加速化するための取り組みの一つとして、オプティムのスマート農業アライアンスに九経連、福岡県、大分県が参加し、コンソーシアムを設立してスマート農業の促進に取り組むことになった。  具体的には、佐賀県、福岡県、大分県における生産者の水稲のモデル圃場で、ピンポイント農薬散布テクノロジー(ドローンで圃場を空撮し、AIで画像を解析、早期に病害虫を検知しピンポイントで農薬を散布)を活用した取り組みである。今年は、いずれの県の圃場においても、ウンカの発生が少なく、ウンカ被害によるピンポイント農薬散布は実施しなかった。その結果、通常の農薬全面散布に比べ、農薬を使用しなかった分のコスト削減が図れるとともに、減農薬でのお米を栽培することができたと説明があった。 また、オプティムでは、生産者の売上増大の取り組みとして、できた農産物を生産者から通常の価格で買い取り、付加価値分を上乗せして通常価格の2~3倍で販売し、その差額からスマート農業に係る経費を引いた残額を生産者とシェアするビジネスモデルを構築していると説明があった。    以 上

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